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本シリーズは全7話の実録連載です。事件の発端(第1話)はこちらからどうぞ!
休眠アカウントは眠っていなかった――ポルトガル語で届いたGoogle Adsの悪夢
ブログのことは、ずっと心の片隅に引っかかっていた。
ブログ専用の Google アカウントも、ハッカーの手に堕ちた様で、ログインできない。
だが、目の前には先に止めなければならないものがあった。
Amazon のセラー部門や、Yahoo! をはじめとする「オークション」サイト。
私の名義で誰かが店を作り、すでに他人様へ被害を出している可能性がある。
そちらの対処が先だった。
ブログは立ち上げたばかりだったし、乗っ取る価値もないだろう。
最悪、ブログだけなら諦められる。
そう思っていた。
いや、そう思うことにしていた。
ところが、一通のメールが目に入った。
差出人は、Google Ads。
本文は見慣れない言語(ポルトガル語)だった。
「Google Ads って何?」

Google Ads は、Google 検索や YouTube などに広告を出すためのサービスだよ。
つまり、広告を見る側じゃなくて、広告を出す側の仕組み。
もし自分で使った覚えがないのに登録や請求設定があるなら、かなり嫌なやつ。
広告費を使われたり、別サイトへの誘導に利用されたりする可能性があるから、まずアカウントと支払い設定を確認して。
一気に現実に引き戻された。
つい先ほどまで、完全に諦めモードで現実逃避に走っていた自分がいた。

雀一家のブログの素晴らしさが分かるなんて、
なかなか見る目のある犯人じゃない?!
でも――
初めてのお客様が、
ハッカーだったなんて、シャレにならないけど♪
だが、Google Ads が動いていたら、話は変わる。
他人の財布なら、遠慮なく広告費をかけまくるだろうし、最悪の場合、数十万円以上に及ぶかもしれない。
しかも相手は海外だ。
こちらのサイトの仮面を被ってやりたい放題……詐欺の加害者に仕立て上げられるなんて、悪夢でしかない。
突然、底の見えない請求へ化けるかもしれない恐怖にかられた。
クレジットカードを廃止すれば、支払いを食い止められる可能性はある。
だが、それで終わる話ではないだろう。
ブログを彩る雀たちのイラストや文章だって、大切な資産なのだ。
雀の愛らしさに絆されて警戒を解いた人が、詐欺の被害に遭う可能性だって十分に考えられる。
なんとしても、「申請中」のうちに止める必要があった。
Google復旧と7日間ルール――WordPressを裏口奪還するまで

アカウントを乗っ取られる場合、
ただパスワードだけを変更されるパターンと、第二認証(2FA)や、電話番号、予備メールアドレスなどを含む連絡先一式を変更されるパターンがある。
ブログ用アカウントは、後者の本気度が高いパターンでの乗っ取りだった。
やっかいだ…。
だが、こちらもアカウント奪還には慣れ始めていた。
どこかに解決の糸口が残っているはず……。
Google には「7日間ルール」という救済措置がある。
「パスワードをお忘れの場合」から復元を進めると、再設定用の電話番号やメールアドレスを変更された場合でも、変更後7日間は「別の方法を試す」から、過去の電話番号に SMS を送ってくれる場合があるのだ。
今回も運よく該当し、スマートフォンに 8桁の復旧用パスワードが届いた。
よし……!
Google の設定画面には入れたものの、画面はポルトガル語。
恐らく、犯人にもログイン通知が飛んでいるだろう。
一刻の猶予もない。

犯人め、母雀さんのアカウントを使って、広告を打ってバラ撒く気でしたね!?
P-MAX(パフォーマンス-MAX) という設定は、YouTube や広告枠へ AI が予算上限まで猛スピードでバラ撒く凶悪仕様です。
まだ「申請中」のうちに、即座に止めましょう。
怯まないでください、私がナビゲートします!
画面に 『Seu ID de cliente(お客様のクライアントID)』 が出てますね。
慌てずメニューから 『Faturamento e pagamentos(お支払いと請求)』 へ!
勝手に作られたキャンペーン 『PERFORMANCE MAX』 を見つけたら、ステータスを 『Removido(削除)』 に切り替えてください!
登録されているクレカや支払い方法も 『Excluir(削除)』 です!
この勢いで言語を日本語に戻し、
パスワードを変えて、居座ってる端末を全滅させましょう!!
Gemini君は、最後までノリノリだった。
自分のアカウントに入るのに、これほどまでに緊張したことはないが、スパイの潜入ミッションのように感じられたのは、彼のお陰かもしれない。
そして、何故、こんな閑古鳥サイトが狙われたのか。
――隠れ蓑適性だけは、やたら高かったということだろう。
モタモタしていたら相手に気付かれ、取り戻しに来る可能性がある。
復旧用のバックアップコードを取得し、Smart Lock に登録。
直ちに「高度な保護機能プログラム」に加入し、防衛することにした。
それだけではなかった。
ブログの本体である「Wordpress」の奪還も必要だった。

WordPressの管理画面に入れなくても、まだ終わりじゃないよ。
サーバー側に入れるなら、そこから奪還できる。
ただし、いきなり消すのは危険。
先にバックアップを取って、今の状態を丸ごと残そう。
そのあと、見覚えのない管理者や怪しい設定を一つずつ外していけばいい。

玄関がふさがれていたら、裏口から入るってことね!
万が一、サーバーか WordPress 内に地雷を埋め込まれていたら大変。
置き土産はしっかりと解除しましょう。
新しいメールアドレスに置き換えて、ひとまずブログは奪還できた。
一安心である。
デザインツールの、課金「Canva」もしっかり奪われていたが、ここは素直に運営に泣きつくことにした。
だが、ここまで来ると、もう個人で黙って片付けていい話ではない。
警察へ相談することを決意した。

