🐤初めての方へ
本シリーズは全7話の実録連載です。事件の発端(第1話)はこちらからどうぞ!
Amazon への侵入者は、著名人?!
複数のアカウントに異変が起きていると分かった時、私は真っ先に Amazon を確認した。
Prime 会員の為、配送は翌日。
クレジットカードも登録済み。
しかも、高額商品も扱っている。
確認しない理由はない。
恐る恐るログインしてみたものの、普通にログインできたし、目立った不審な購入も見つからなかった。
配送先も変更された形跡はない。
念のためにパスワードとクレジットカード情報を変更し、他の乗っ取り対応にあたっていた。
数日ほど経過した後、異変がないか確認しに戻ったところ、
下段にある「設定者」という欄に、見たことのある名前が目に飛び込んできた。
なんと、毎週欠かさず見ている大人気アニメの原作者の名前だったのだ。
以前、主人公の「フリー〇〇」のフィギュアが欲しいと思って、しげしげと眺めていたからなのか、犯人がファンなのかは分からないが、少なくとも家族は関与していなかった。
正直、「設定者」という表示があることすら、知らなかった。
Amazon のソーシャル機能(フォローやプロフィール機能)で使われる独自の設定項目らしい。
不正アクセスを疑い、すぐに Amazon のカスタマーサービスへ連絡した。
事情を説明すると、Amazon 側から返ってきたのは、驚きの回答だった。
「不正アクセスを確認しています。」
カスタマーサービスからは、アカウントを速やかに閉鎖する方向で案内された。
その判断に異論はない、当然だろう。
Amazon Prime は年額会員だったので、有効期限はまだ半年以上残っている。
……悔しいが、問題はそこじゃない。
分かっていたなら、何故知らせてくれないのか?!

不正アクセスを確認していても、運営側がすぐ利用者に通知するとは限らないよ。
攻撃者に検知されたことを悟らせないため、内部で制限や監視だけ行う場合もある。
むしろ、通知しないこと自体は珍しくない。
ただし利用者目線では、
「勝手に有名人に書き換えられている時点で先に教えて下さい」
である。

いやいやいや。
攻撃者に悟らせないのは分かるけど、実際に被害が出たらどうするのよ…。
迷っている時間はない。
案内に従い、アカウントの閉鎖手続きを進めた。
被害が出る前に、食い止められてよかった。
そう思った矢先、「閉鎖できませんでした」というメールが届く。
なんで……?
自分が注文した商品は、既に届いていて、クレジットカード決済も通過している。
月毎に届く「定期お特便」の登録も停止した。
kindle などの付帯サービスの停止も、抜かりはないはず…。
再びカスタマーサービスに問い合わせたところ、
「他にご登録があるようです」と。
オペレーター側には、システム上、それ以上のことは分からないらしい。
「テクニカルサポートの方に確認してみて下さい」と言われ、連絡先を教えてもらった。
システム上の不具合とは、思えないのだが……。
Amazonで、店主になる

ふと、我に返った。
蘇る記憶――。
かつて、Amazon のマーケットプレイス(第三者からの出品)で詐欺にあい、商品が届かなかったことがあった。
出品者の問い合わせ先には、住所と連絡先が記載されており、連絡してみたところ、出てきたのはご高齢のおばあちゃん。
「なんだい…知らないよ…」
それ以降は、留守録になり返答がない。
不審に思い、住所を Google マップで検索してみたら、実在する個人の会社の様だ。
時間を変えて連絡をとると、やっと従業員の様な人がでてきた。

あぁ…、またですか。
実は、以前も Amazon で勝手に連絡先を使われて、
警察に被害届を出したんですよ。
でも、定期的に使われるんです……。
彼らもまた、別の被害者だった。
「Amazonマーケットプレイス保証」に則り、事情を説明して Amazon 経由で返金してもらった経緯がある。
まさか…!!!
「テクニカルサポート」は、パソコンやネット上の不具合対応窓口ではなく、出品者・事業者専用のサポート窓口だったのだ。
確認してもらったところ、この Amazonアカウントには、購入者としての登録だけでなく、出品者側として2つのビジネスアカウントが紐づいていたらしい。
- Amazon 出品用アカウント(Amazon Seller Central)
- 海外マーケットプレイス(グローバルセリング/北米など)出品アカウント
途端に血の気が引いていった。
購入者アカウントの裏側で、知らないうちに「売る側」の登録まで進んでいたとは思いもしなかった。
ビジネスアカウントは、購入者用アカウントとは別組織とは言え、連絡先は同一ではないのか。
攻撃者にメールの操作が可能ならば、愚問である。
幸い、実際の販売には至っていなかった。
金銭的な被害も確認されなかった。
だが、登録内容を見て、別の意味で生きた心地がしなかった。
出品者名には、体重計で有名な某企業「タ〇タ」の名前が使われていた。
至急アカウントは削除してもらったが、再び連絡先を使われないという保証はない。
購入者だけが被害者とは限らないのだ。

