人間用なら少しだけ? ペットへの薬の使い回しが何故危険なのか
うちでは時々、子雀からこう言われる。

頭痛てぇ…
サル用の薬、処方してくれ〜。
たぶん本人の理屈は単純だ。
病院に行くのは高いし面倒。だったら……。
ペットに人間用の薬を使おうとする時も、似た様な発想はあると思う。

胃薬とか下剤とか痛み止めなら、家にあるじゃん。
子供用なら効き目も穏やかだし、
苦しみを和らげられるなら、一回くらい平気じゃない?
そこが危ない。
「子供用」は犬猫用ではないし、
「一回だけ」なら安全という薬ばかりでもない。
そもそも薬は、体重だけでは決まらない。
人と犬、人と猫では、薬の吸収、分解、排泄のされ方が違う。
だから、
人間が60kgで1錠なら、6kgの犬には10分の1錠。
そんな計算では安全な量は出せない。
「胃薬」「痛み止め」「風邪薬」と呼んでいても、使われている成分や作用は様々だ。
猫では、人では普通に使うアセトアミノフェンが重い中毒につながる。
犬でも、人用の鎮痛薬によっては、消化管障害や腎障害を起こすことがある。
さらに同じ薬でも、持病や脱水、併用薬があれば危険度は変わる。
じゃあ、人間用は全部ダメなのか
そうでもない。
獣医師が人間用と同じ成分を使ったり、人用医薬品そのものを処方することはある。
でも、それは
成分、量、対象種、目的を分かった上で使っているからだ。
人間用だからダメ。
動物用だから安全。
そんな単純な話ではない。
過去にこの子へ処方された薬なら安全か?
たとえば、以前もらった「NSAIDs系の鎮痛薬」が残っていたとする。
後日、その犬がぐったりしているからと、自己判断で同じ薬を飲ませる。
でも、その時に嘔吐や下痢で脱水していたり、腎機能が落ちていたりすれば、同じ薬でも腎障害や胃腸障害の危険は高くなる。
さらに別の病気でステロイドを飲んでいたら、NSAIDsとの併用そのものが危険になる。
前回と今回で病気も体の状態も違う。
同じ薬でも、脱水している時や別の薬を飲んでいる時には、かえって危険になることがある。
家庭内薬箱の使い回しは、封印した方がいい。

