※本記事は父雀(獣医学博士)の監修のもと、実体験と生物学的根拠に基づいてお届けします。
脂肪細胞は減らない?若い頃の太り方が未来を決める理由

ねぇ父雀、脂肪って「燃焼する」っていうけど、
運動したら脂肪細胞ってどれくらい減るの?

いや、それが違う。
脂肪細胞の“数”は、ほぼ一生変わらない。
減るのは、中に詰まっている油の塊(中性脂肪)だけだ。
脂肪細胞の数は、生まれつきのものと、
思春期〜20歳前半までにどれだけ増やしたかで、
だいたい一生分が決まる。
つまり、ダイエットで起きているのは
「脂肪が消える」のではなく、中身を減らして「小さくなる」だけ。
何度ダイエットしても、倉庫自体は残る。
だから、簡単にリバウンドするし、太りやすい。

若い頃に太る=脂肪細胞の倉庫を拡張するようなもの。
若い頃の暴飲暴食&ストレス太りどれほど罪深いか、分かるだろ?
脂肪細胞の数は一生ついて回るんだからな。
基本的に中年以降は脂肪細胞は増えないが、
急激に太る(10kg以上)と脂肪細胞が分裂して再び拡張し始めるから、油断は禁物だ。
脂肪細胞は一生減らないという現実
若いころに痩せていた人は、脂肪細胞自体が少ない傾向にあるから、太りにくい。
同じ量を食べて、『自分だけ太るのはズルい!』って思っても、
体質=脂肪細胞の数の違いだから、仕方がない。

分かりやすく言うなら、
体の中に「脂肪大魔王」がいると思えばいい。
ここで言う脂肪大魔王とは、
インスリンの働きで脂肪を溜め込もうとする、体の仕組みのことだ。
痩せてる雀は脂肪細胞が少ないから、ブドウ糖を溜める倉庫がない。
余った分は即分解されて、熱・汗・息・尿として外に出ていく。
一方で、脂肪細胞が多い雀は倉庫が大きい分、
インスリン(血糖を下げ、余ったエネルギーを貯め込むホルモン)が働くたびに、
脂肪大魔王の食卓が整っていく。
つまり、ブドウ糖は次々と中性脂肪に姿を変え、脂肪細胞が膨らんで太るんだ。

えっー!
息とかで脂肪をチャラにできちゃうなんて、差が酷くない?
最近はダイエットしても、痩せにくいし…

確かに、年齢と共に太りやすくなるのは事実。
その他には、遺伝子も影響すると考えられているぞ。
年齢とともに変わる基礎代謝の仕組み
脂肪大魔王の軍勢 = 脂肪細胞の兵士たち。
兵士には2種類いる。
- 褐色脂肪細胞(燃焼兵士)
脂肪を燃やして熱に変え、代謝を支える役割 - 白色脂肪細胞(倉庫兵士)
余ったエネルギーを大量に溜め込み、
膨らむと炎症を起こして代謝をさらに下げる厄介者
若い頃は、褐色脂肪細胞(燃焼兵士)の割合が比較的多く、筋肉量も多い。
成長ホルモンやテストステロンといった
代謝を支えるホルモンも活発に分泌されている。
そのため、多少食べすぎても
エネルギーとして消費しやすい「燃やせる体」になっている。
一方、中年になると
褐色脂肪細胞は減少し、白色脂肪細胞(倉庫兵士)の割合が増えていく。
さらに、細胞内のミトコンドリア(エネルギー発電所)が劣化し、
筋肉量や代謝を支えるホルモン分泌も低下。
内臓の代謝も次第に鈍っていく。
その結果、燃焼効率そのものが落ち、
体は「燃やせる体」から「ため込みやすい体」へとシフトする。
年を重ねるにつれ、「たいして食べていないのに太る」と感じる場合、
その正体はこの代謝低下であることが多い。

エンジン・燃料・発電所が、同時に古くなる。
だから燃えなくなる。
内臓脂肪が厄介な理由と、男女差の話
脂肪には、大きく分けて2種類ある。
内臓脂肪と皮下脂肪だ。
内臓脂肪は、肝臓や腸のまわりにつく脂肪で、
比較的燃えやすい反面、
増えすぎると厄介な問題を引き起こす。
内臓脂肪が増えると、
サイトカインと呼ばれる炎症物質が放出され、
体は慢性的な“炎症状態”に傾いていく。
この炎症が続くと、
インスリンの効きが悪くなり、
血糖値・中性脂肪・血圧が上がりやすくなる。
いわゆる生活習慣病に直結しやすい状態だ。
一方、皮下脂肪は血流が少なく、
一度つくと燃えにくいストックのようなもの。
見た目には影響するが、内臓脂肪ほど炎症は起こしにくい。
ここに、男女差が加わる。
- 男性
加齢や生活習慣の影響で
男性ホルモン(テストステロン)が低下すると、
内臓脂肪がつきやすくなり、
糖尿病・高血圧リスクが上がりやすい。 - 女性
閉経前後に女性ホルモン(エストロゲン)が急減。
皮下脂肪に加えて内臓脂肪も増えやすくなり、
お腹まわりが急に変わる。

「太ってないから大丈夫」
そう思っている雀ほど、静かに数値が壊れていくぞ。
見た目と中身は、必ずしも一致しない。
脂肪細胞が少ない雀は、確かに太りにくい。
だがその分、余ったエネルギーの逃げ場がない。
血糖や中性脂肪は、脂肪として隔離されず、
直接、血中や内臓に回りやすくなる。
見た目はスリムでも、
高血圧・脂肪肝・糖代謝異常を抱える雀が多いのは、
この仕組みのせいだ。
努力だけでは越えられない壁 ― 遺伝と体質

実は脂肪大魔王には、隠れサポーターがいる。
それが“遺伝子”だ。
太りやすさには、いくつかの遺伝的要素が関わっている。
- 脂肪細胞の増えやすさ
脂肪細胞が分裂しやすい体質の雀は、
太りやすく、リバウンドもしやすい。 - 食欲コントロールの差
満腹を知らせる仕組みが効きにくく、
食べすぎてもブレーキがかかりにくいタイプがいる。 - 燃焼力の個人差
褐色脂肪細胞やミトコンドリアの働きには個体差があり、
同じ食事でも「太る/太らない」の差が出る。
さらに、日本やアジアに多いとされるのが
「節約遺伝子(thrifty gene)」だ。
少ない食料でも効率よくエネルギーを溜め込める、
飢餓の時代には有利だった生存スキル。
だが、飽食の現代では――
脂肪を呼び寄せやすい体質として働いてしまう。

……完全に私のことじゃないの?
常時、デバフがかかってるってことかしら?

いや、スタート地点が違うだけだ。
太りやすい人は“ハードモード”で始まるが、
攻略方法は同じだから、やる事は変わらない。
ただし、BMIが35を超えるようなら話は別だ。
その場合は自己流で突っ込まず、
医師を頼るのも、立派な戦略だぞ。
脂肪大魔王と共存するという選択

脂肪大魔王は、
一度倒して終わりの相手じゃない。
体の仕組みそのものだから、
力で押さえつければ、必ず反撃してくる。
体重を落とすこと自体は、正直それほど難しくない。
だが問題は、その後だ。
・急に戻る
・前より太りやすくなる
・数値だけが静かに悪化する
こうした失敗は、戦い方を間違えた結果だ。
脂肪大魔王は、
体が「危険だ」と誤解した瞬間に目を覚ます。
刺激を与えすぎると、
体は「守り」に入り、
エネルギーを溜め込もうとする。
つまり、
やりすぎるほど、太りやすい体になる。
だから重要なのは、倒すことじゃない。
暴れさせないことだ。
体に
「まだ大丈夫だ」
「生き残れる」
そう思わせておけば、
脂肪大魔王は静かになる。
この先に必要なのは、
極端な我慢でも、根性論でもない。
体の仕組みに沿った“扱い方”だ。

つまり…脂肪大魔王と付き合う方法は、
「我慢する」か「諦める」の二択じゃないってことね!

そうだ。
食べ方を変える方法もあれば、
体の反応そのものをコントロールする道もある。
生活習慣で手なずけるか、
体の仕組みを利用して主導権を握るか。
場合によっては、専門家の力を借りるという選択もあるだろう。
どの道を選ぶかは、
体質・年齢・目的次第だ。
その具体的な選択肢については、
別の記事で詳しく扱っている。
自分に合うルートを、探してみてほしい。

