犬がキシリトールを食べたら、症状がなくても様子見しない
キシリトールは、人間では虫歯予防のイメージが強い成分だ。
でも犬にとっては、少量でも急激な低血糖を引き起こす危険物だ。
問題なのは、「ガムを1粒食べた」という情報だけでは危険度が分からないこと。
製品によってキシリトールの含有量が大きく違うからだ。
製品次第では、ガム1粒でも小型犬なら中毒・死亡の危険性がある。
だから、
「1粒だけだから様子見」
「今は元気だから大丈夫」
とは判断しない。
食べたことが分かっているなら、症状待ちはせずに、至急病院へ。
製品の袋や成分表示が残っているなら、そのまま持参してほしい。

散歩中に、路上に落ちていたガムを食べちゃったのよ。
噛み終わった後だし、大丈夫かしら?

散歩中に落ちていたガムを食べた場合も、キシリトール入りの可能性がある。
噛み終わったガムなら含有量が減っていることはあるが、残量は分からない。
そもそも犬が飲み込む前提で作られていないしな。
製品も摂取量も不明なら、症状が出るまで待たずに受診でいい。
急激な「低血糖」と「肝不全」
犬はキシリトールを摂取すると、急激にインスリンが分泌されて、血糖値が大きく下がることがある。血糖値が急降下すると、低血糖性ショックを起こし、ふらつき、けいれん、昏睡に至る。
キシリトール中毒が厄介なのは、低血糖だけではないことだ。
摂取量によっては、あとから肝障害や急性肝不全を起こすことがある。
しかも、低血糖が目立たなかった犬でも、肝障害が問題になることがある。
つまり、
「数時間たったけど、ふらつかなかった」
「翌日は元気そうにしている」
だけで安心とは言えない。

じゃあ砂糖水を飲ませたり、
はちみつを舐めさせて血糖値を上げればいいんじゃない?

低血糖が起きている時の応急処置として糖を使うことはある。
でも、それでキシリトール中毒が治るわけじゃない。
食べた直後から砂糖水を飲ませて、様子を見るのは間違いだ。
受診を遅らせないことの方が重要だ。
自宅で無理に吐かせるのも、誤嚥や別の障害を起こす危険があるので、私は勧めない。
そこに時間をかけるより、一刻も早く病院へ。
キシリトールには特効薬がないし、吸収が速い。
食べてすぐで、まだ症状がなければ、病院ではまず吐かせて吸収量を減らすことを考える。
すでに吸収された後は、低血糖を防ぐためのブドウ糖投与や、血糖値・肝機能を監視しながら治療することになる。
なお、キシリトールは、一般的な中毒で使われることがある活性炭では十分吸着されない。
摂取量や症状によっては、そのまま入院して経過を見ることも多い。
食べたことが分かった時点で、元気でも受診してほしい。
ガム1粒を軽く見ないこと。それだけで助かる命がある。

