エアコンをつけていても危険?犬の熱中症のサイン

犬がぐったりした様子で獣医師雀の診察を受ける図 犬

犬の熱中症は「暑そう」とは限らない

犬の熱中症というと、

「ものすごくハァハァしている」
「体が熱い」
「炎天下にいた」

そんな姿を想像しがちだ。
でも、実際にはもっと分かりにくい。

吐く。
下痢をする。
血便が出る。
ふらつく。
ぐったりする。

これだけなら、胃腸炎や誤食など、別の病気にも見える。
しかも重症化してショック状態まで進むと、体温が下がったり、パンティングが弱くなることもある。

つまり、

「体が熱くないから、熱中症ではない」
「ハァハァしていないから大丈夫」

とは言い切れない。

人間側が涼しくても、犬まで涼しいとは限らない

母雀
母雀

冷たい空気って下にたまるんでしょ?
私は冷房苦手なのよ。
犬は床に近いんだから、むしろ人間より涼しいんじゃない?

それに、窓を開ければ空気も入れ替わるし、自然の風が一番よね!

父雀
父雀

「風が吹けば涼しい」と感じるのは、人間の皮膚に汗があって、それが蒸発する時に熱を奪う(気化熱)からだ。
犬は肉球に汗腺が集中しており、全身で汗による放熱ができないから、外の高温多湿な空気を浴びれば、パンティングによる放熱が追いつかなくなることがある。
「自分が暑くない = 犬の熱中症対策」 じゃないからな。

問題は、ペットケージが部屋の隅にある事が多いから、直射日光が当たったり、冷房の空調が届かないこと。
犬のいる場所に温湿度計を置いてみると分かる。
ただし、今日まで平気だった部屋でも、明日も平気とは限らない。

外気温が下がっていても湿度が高ければ、犬は熱を逃がしにくい。
夜間などは暑くても場所移動せず、ケージの中にとどまることもあるからな。

母雀
母雀

なら…
サマーカットはどう?
トリミングで、すっきりと短めに切ってもらえば
少しは涼しくなるんじゃないかしら。

父雀
父雀

それも、一概には言えないな。
毛は外の熱を遮る断熱材でもあるから、
短くし過ぎると、肌に直射日光をモロに受けて、皮膚温が一気に上がる。
涼しくするつもりが、逆に作用することもあるんだ。
何事も、ほどほどに……な。

「胃が悪いのかな」で待つのが怖い

熱中症が厄介なのは、症状が他の病気と重なることだ。

嘔吐や下痢だけを見て、
「胃の調子が悪いのかな?」
「何か変な物を食べたかな?」
と様子を見ている間にも、高体温や循環不全によるダメージが進むことがある。

熱中症では重症化すると、腎臓や肝臓、脳、血液凝固系など複数の臓器に障害が及ぶことがある。

だが、熱中症には「これ一本で確定」という、特徴的な症状や血液検査所見がない。
採血では脱水、腎・肝障害、凝固異常などは見えるが、それ自体は熱中症専用の所見じゃない。
だから初診では、飼い主さんへの問診も手掛かりとなる。

熱中症の初期には、激しいパンティングや高体温、口腔粘膜の充血などが見られることがある。
だが、受診時まで残っているとは限らない。

一時的にでも「いつもと違うほど暑そうだった」という経緯があり、その後に嘔吐、下痢、血便、ふらつき、ぐったりなどが出たなら、その情報は必ず獣医師に伝えてほしい。
冷房を使っていたとしても、熱中症の可能性を飼い主さん自身が手放さないことが大切だ。

熱中症を疑ったら、病院へ着くまで待たずに冷却を始める

冷房の効いた場所で体を水で濡らし、風を当てて冷やす(氷水で急激に冷やすのは勧めない)。
保冷剤をタオルで包み、首・脇・太ももの付け根などに当てるのもいい。
そのまま冷却を続けながら、病院へ向かってほしい。
自力で水を飲めるなら与えていいが、ぐったりしている犬に無理に飲ませる必要はない。
誤嚥の危険がある。

一度ぐったりした犬は、冷やして元気になっても受診が必要。
体温が下がっても、臓器障害まで止まったとは限らないからだ。


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